こんにちは、ひつじ先輩です。
電力会社を退職したので、辞めた理由を書きます。
いわゆる、退職エントリです。
丸7年近く「辞めたい」と思い続けた会社を、ついに辞める。
最高にスッキリしますよ。
電力会社を退職した経緯、辞めた理由、電力社員に向いている人を書いていきます。
電力会社を退職した
退職前の仕事
わたしは、理系院卒の技術職。
水力発電・変電の職場を経験しました。
具体的な仕事内容は、
- 書類作成
- 設備の見回り・操作
- 小さい工事の担当者
あたりが主でした。
退職に際して
退職のきっかけは後述しますが、上司を「ちょっといいですか」と呼び出し。
退職の意思を伝えました。
わたしは仕事ができないので、引き止めはなし。
さらに上の上司との面談を経て、その日のうちに退職届を提出。
金のために何年も二の足を踏み続けた、念願の退職。
いざ言ってみると、あっさり終わるものです。
その後、数日だけ出社して最終出社日。
有給消化・退職日などは、わたしが決めました。
最終出社日までは、同僚はわたしが辞めるとは知らないふりです。
実際は全員気付いていますが、おかげで過ごしにくくはなかったです。
駆け込みで、「あれもやってない、これもやってないだろ!」と騒ぎ出した人はいました。
最終出社日、残りをその人に”お渡し”して定時で帰ったのは、最ッ高の思い出です。
電力会社を辞めた理由
もっとひどい会社が日本にたくさんあることは、理解しています。
「電力会社に入れば、必ずこんな目に合う」とも、言いません。
あくまで一個人の経験談として、就職・転職を考える人の情報になれば幸いです。
辞めた理由は、わたしにとって重要だった順で5つ。
- 希望と異なる配属
- 公私混同の社風
- 無駄だらけの業務
- やりがいのなさ
- 成果主義が機能しない
順に、述べていきます。
1.希望と異なる配属
希望と異なる配属
ありがちですが、配属の希望は通りませんでした。
しかも、配属先は3K(危険・汚い・キツい)の水力発電です。
「そういうことなんで、よろしく!」くらいの軽いノリで始まる苦役。
会社の指示で就活をやめ、他に内定がない新卒の足元を見ている。
だからこんなに強気なのだ、と感じました。
まだ入社してないタイミングでしたが、この時点で不信感はMAX。
やる気は、0近くまで落ちました。
退職を決めたきっかけ
ちなみに退職を今決めたきっかけも、数年離れていた水力発電に再び異動になったからです。
異動しても給料に大差はないのに、仕事だけキツくなるのは明らか。
30才を過ぎ「これ以上、嫌いな仕事で時間を売る人生でいいのか」と焦ってもいました。
付け加えるなら、新生活や新しい人間関係、業務内容・ローカルルールの覚え直しもダルかった。
従業員を苦しめる定期異動にメリットがあるとすれば、辞めるきっかけにちょうどよい。
この1点でしょう。
水力発電の現場については、こちらの記事で書きました。
ぜひ、読んでみてください。
2.公私混同の社風
- 飲み会
- 労働組合
- 会社・地域のイベント
こうした、業務外の活動。
本来は強制できませんが、強制されます。
拒絶すると、上司に呼び出されることもあります。
言われた経験があるのは、
- みんな参加している
- これは若い奴の仕事だ
- お前がやらないなら代わりを見つけて来い
- 和を大事にできない奴は要らない
- 仕事で困ったときに助けてもらえないぞ
- 自分勝手だ
- 恩知らずだ
- ゆとりだ
- 上司の面子をつぶすつもりか
- 会社にいられなくなるぞ
あたりです。
ここまで言われて断れる人は、少ないです。
恐怖を煽り、人格を否定し、自分の思い通りにさせる。
こんなやり方をする上司を尊敬することは、困難を極めます。
- 休日や業務外の時間を、自分の意思に反して失う
- 会社での人間関係・評価を犠牲にする
全員がこの2択を迫られ、ほとんどの人が前者を選びます。
そして前者を選んだ人はいずれ、強制する側に回る仕組みです。
3.無駄だらけの業務
無駄なポイントは、
- リスクを恐れすぎる
- チェックリスト・ルールが多い
- 無駄な書類が多い
- 予算を使いきる
の4つです。
順に説明していきます。
リスクを恐れすぎる
電力会社は危険な仕事が多いため、安全を重視する社風です。
しかし、安全を重視するほど効率は犠牲になります。
いかなる主張であれ、安全が理由なら通りやすい。
現実的に事故となる可能性がほぼ0であっても、安全に逆行する主張は許されません。
これが安全のみであればよいのですが、あらゆるリスクについて適用されてしまっています。
わずかな失敗の可能性を挙げて、「ダメだったら責任取れるの?」。
これが最強クラスの説得力を持っているので、無駄なタスクは減りません。
チェックリスト・ルールが多い
電力会社では、ミスが起こる度にどんどんチェックリスト・ルールが増えます。
多すぎるチェックリストは、まともに使われずにチェックを入れるだけ。
多すぎるルールは、把握されない・無視されます。
何が大事なポイントなのか分かりづらく、ミスしやすくムダな動きも多い状況です。
時代の変化でいらなくなったチェックリスト・ルールであっても、なくせない。
これは、なくして何か不具合が生じたときに誰も責任をとりたくないからです。
また社内ルールには国に報告しているものがあり、変えづらい一因となっています。
無駄な書類が多い
- すでにやると確定している仕事の稟議書
- 同じ内容が別の様式になっただけの書類
- 同じ内容の年度だけ変えたバージョン
- 監査対応のための実務上いらない書類
こうした不要な書類作成が、大量にあります。
これを、上司による「ぼくが かんがえた かんぺきな しょるい」クオリティに合わせて作ります。
書類の様式や書き方はマニュアルで定められているものの、上司はそれ以上を目指します。
- 能力発揮の機会がない
- 減点方式の評価
- 書類の質が上司のメンツを守る
あたりの理由から、上司のやる気は書類を「かんぺき」にすることに向きがちです。
半角スペース・文字サイズといった詳細にこだわってみたり。
あの情報・この情報も入れようと、膨らませてみたり。
同じ内容の文言の言い回しを、何度も変えてみたり。
上司が変わるたびに変わる方針・自己満足にずっと付き合わされる人生です。
ペーパーが大好きで、二重・三重管理も大好きです。
だって、紙ベースがないと心配だろ!?
社内システムも、古い・重い・使いにくい。
紙の方がマシと、情報系出身ですらときどき思う環境です。
その上、システムは改良・改善されていきません。
だって、何か変えて問題が起きたら、責任取れないだろ!?
予算を使いきる
コストを減らす考えは、あまりありません。
上司も部下も、コストを削ったところで評価が上がらないからです。
現場に割り振られる予算を減らすと、来年もその少ない予算になります。
あとで、予算不足に困るリスクが上がるだけなのです。
予算を減らすには、去年と違う説明が必要。
増やすにもまた前回と違う説明が必要になるので、タスクが増えるだけです。
多めに予算をとっておけば、余りすぎても使い切ればよい。
足りなくなるより、余った分を使い切るほうが手続きがラク・安全です。
そのため、前回と同じように予算を立て、その予算通りに仕事をする。
それが、現場においての最適解となっています。
コストダウンをここまで軽視するのは、会社として特殊なのでは?と思います。
4.やりがいのなさ
「電力の供給」、これは確実に世の中の役に立っています。
しかし普通の感覚をしていたら、やりがいを感じるのはむずかしいです。
電力会社の仕事は、設備の点検・更新です。
多くの大企業と同じで、実際の作業をするのは受注した工事屋さん。
電力社員は工事担当者として、受注者にいろいろとお願いする立場になります。
電力会社の業務では、自分たちが手を動かすことはあまりありません。
実際に手を動かしたい・技術力をつけたいエンジニアにとって、これは苦痛になるようです。
わたしはそもそも電気に興味がなかったため、手を動かさないのは嫌ではありませんでした。
むしろ、人に実際の作業をお願いできるのはありがたい。
しかしそれでも電力会社の業務にはやりがいがなく、ストレスフルだと感じていました。
それは、作業する人の邪魔をするような内容が多いからです。
受注者に、書類作成をお願いする業務があります。
それも、前述したような自分の上司の自己満足クオリティを満たすまで何度も修正させる。
電力会社側の都合で、正解が変わることすらしょっちゅうです。
さらに実際の作業についても、進め方・成果物についてあれこれケチをつけます。
あれが不安これが不安と、重箱の隅をつつくようなダメだしをします。
前述したような多すぎるルールやチェックリストにも、すべて付き合わせるのです。
実際の電力供給を担っているのは電力会社ではなく、実際に工事をしている人たちです。
その人たちに、無意味なお願いをぶつけて邪魔する業務が多すぎる。
どれだけ認知が歪めば、人の邪魔をしてやりがいを感じられるようになるのでしょうか?
5.成果主義が機能しない
電力会社の成果主義について。
- 年功序列が強い
- 減点方式で評価
- 好き嫌いで評価
の3点、述べます。
年功序列が強い
成果主義を唱えていても、結局は年功序列が強いです。
最初の10年くらいは、評価・給与にあまり差をつけないと決まっています。
会社人生の3分の1は、まったく成果主義ではありません。
電力会社には、優秀な人がたくさんいます。
しかし彼らには、報酬としてさらに多くの仕事が与えられるだけです。
いずれ転職・退職を考えているなら、サボるのが最適解になります。
仕事しなくても、優秀な同期と同じだけ給料がもらえますので。
成果主義が機能しだすのは、その先。
10年耐えれば、同期の間でも差が出てきます。
しかし、年功序列が消える訳ではありません。
彼もいい年だから、そろそろ管理職を経験させてあげないとね~
という謎のロジックが、まかり通るような古い体質です。
明らかに仕事ができなかったり、感情が制御できなかったり。
そんな適性がない人でも、年齢で管理職になってしまいます。
無能な管理職の下では、言うまでもなく人がつぶれます。
また、その人がポストを埋める分、優秀な人の出世が遅れます。
減点方式で評価
そもそも電力会社での成果主義は、一般的なイメージとは異なります。
通常の事業会社での成果は、売上・成約・事業自体の利益を指すことが多いです。
しかし、電力会社の業務内容は、
- 誰がやっても結果が同じ業務
- 結果がOKか失敗の二択である業務
のどちらかがほとんど。
差を無理に作るなら、資格を取るか、書類のクオリティを無駄に上げる(笑)くらいでしょうか。
差がつきにくいし、現場作業のミスは大損失やケガにつながります。
そのため、評価は減点方式。
失敗を出さないのが、最重要となります。
部下達がでかい失敗を数回やった上司が、翌年閑職に飛んだりします。
そのうち1回は僕。
ごめんねw
仕事量をこなせる人は、周囲に優秀と思われますが特に報われているようには見えません。
「報酬は更なる仕事だ~w」などと上司がふざけて、さらに仕事を振るだけだからです。
とにかく、振られた量をミスなくこなすのが最適解。
基本的に大きな失敗はあまりないので、優秀な人同士ではいつまで経っても差がつかない。
これがわたしの見てきた、電力会社の”成果主義”です。
好き嫌いで評価
もはや成果主義と言えるのかも怪しいですが、もう1つ重要なことがあります。
それは、人に嫌われないことです。
「協調性」「チームワーク」などと表現された評価項目に、好き嫌いが影響するのは明らかです。
分かりやすい成果が存在しない電力会社の仕事内容では特に、そうならざるを得ません。
成果主義が機能していないため、プライドを満たすのがゴールになっている人も多いです。
「嫌いな人は助けない」なんてセリフを、真顔で言ってしまうレベルの人もいます。
仕事をスムーズに進めたい場合も、嫌われるとまずいのです。
- 社内での常識に沿った言動・行動
- 上位者のプライドを傷つけないこと
これに、細心の注意を払わねばなりません。
休日を奪う業務外活動を断れないのは、断るのが非常識とされているからです。
あらゆる行動を相互監視し、”常識的”かどうかをチェックしあっています。
そこから外れると、「”お前のため”に”アドバイス”を”言ってあげる”」されます。
特に、上司に異を唱えるのはハイリスクです。
体育会系の上下関係なので、それだけでも相手は気分を害するかもしれません。
風通しはひかえめに言って悪く、空気がないのでは?とすら思います。
まとめると、優秀な人をきちんと評価せず、無能な人にとっておいしい環境です。
サボることだけ考えて勤務したわたしの年収は、こちらの記事にまとめました。
そもそも、電力会社で出世を目指してもそんなにおいしくなさそうです。
身近な管理職、「副長」について、こちらの記事で書きました。
ぜひ、読んでみてください。
電力社員に向いている人
電力社員 どんな人
全体として
平均年齢は高く、男性が多いです。
スポーツ経験者で、地頭がよい人が多い。
会社・空気に従順で、ときに自分のクビをシメる働きかたをします。
残業代など、受け取って当然のものを受け取りたがらなかったり。
和を乱すリスクを取らず、決して前に出ず・権利を主張しません。
一方で、他者が権利を主張することについても否定的です。
均質な集団とは言え、人間は1人1人違います。
それでもあえて更に詳しく述べるとすれば、次の2パターンいます。
8割の真面目な人
真面目で感じが良い。
あらゆる理不尽を理不尽と理解した上で、「仕方ない」で流すストレス耐性があります。
空気を読む、他者と合わせるのが得意です。
意見が合わない人間を攻撃することはまれですが、受け入れることはありません。
2割のやばい人
ストレス耐性が低く、プライドを満たすのがゴールになっているメンツ脳。
勝ち負けで物事を考えるタイプで、「多数派=正義」の信奉者。
質問を攻撃、議論をケンカだと受け取る感性をしています。
「言ってやった」ら勝ちだと信じており、
- ルールでは~
- 常識では~
- 礼儀が~
を足がかりにして、他者をやり込めて思い通りにさせるのが生きがいです。
電力社員に向いている人
ストレス耐性がある人。
- 体力がある人
- 思考停止できる人
- 罪悪感がない人
- やりがい不要な人
の4つ書いていきますが、すべては異なるタイプのストレス耐性です。
体力がある人
体が弱ると、心も弱ります。
体が弱いと、ストレスにも負けがちになります。
繁忙期には、労働時間が長くなります。
寝不足でも、一日中立っていられるくらいが望ましいでしょう。
暑さ・寒さ・汚物・虫への耐性も欲しいです。
思考停止できる人
普段の仕事の進め方では、高い法令順守意識が求められます。
一方で、自分が損する内容はなんであれ、笑顔を受け入れるアンバランスさが必要です。
うまくやっている人は全員、権利を侵害されても「仕方ない」で流すストレス耐性があります。
- みんなこうしている
- 今まではこうしている
を枕言葉にして飛んでくる、あらゆる理不尽。
これをすべて受け止めてなお、病まない。
そんな強さが必要です。
罪悪感がない人
上から降りてきた理不尽を、下に受け渡す場面が多いです。
上司に指示されたからと、工事屋に膨大な書類をさせる。
自分もやってきたからと、後輩に労働組合の雑務を強いる。
ストレスを感じずに他者を追い込むことができる、罪悪感の少ない人。
もしくは「みんながやってるから正しい」などと思考を制御できる人が向いています。
やりがい不要な人
無駄が多く、やりがいがないのは前述の通りです。
「そこそこのお金・そして安定さえあればいい。」
電力会社を目指す人の本音は、だいたいこれです。
自分もそうだと思っていましたが、
- 自分の能力を生かしたい
- 自分の能力を伸ばしたい
といった気持ちが少しでもあると、それはジワジワとストレスになってきます。
- 上司が喜ぶ書類の作り方
- 読みにくく膨大な社内ルール
- 使いにくく古い社内システムの操作
- 昭和時代に建立された設備の黄ばんだ図面
- 社内でしか通用しない常識・慣習・礼儀作法
こうしたものばかりに、詳しくなっていく人生です。
変化していく世界の中で、取り残される感。
労働市場における自分の価値が、相対的に下がっていく感。
「そんなの、マジでどうでもいい!」
そう心から思える人なら、余計なストレスを感じなくて済みます。
退職エントリまとめ
電力会社を辞めた理由
- 希望と異なる配属
- 公私混同の社風
- 無駄だらけの業務
- やりがいのなさ
- 成果主義が機能しない
の5つ。
電力社員に向いている人
ストレス耐性がある人。
- 体力がある人
- 思考停止できる人
- 罪悪感がない人
- やりがい不要な人
の4つ挙げたが、これらはすべて異なるタイプのストレス耐性。
退職エントリまとめ
長くなりましたが、3行で言うと
- 理不尽・無駄が多く、やりがいもないからやめとけ
- 評価もグダグダなので、優秀な人はやめとけ
- ストレス耐性・体力に自信がない人もやめとけ
基本的に、電力会社はやめとけ。
これが結論ですが、これまで上げてきた辞めた理由は、他業界・他社にもありがちです。
もっとハードな業界・会社との消去法で選ぶなら、電力会社もありだと思います。
同じ業界ならば、会社が違っても共通している部分は多いです。
しかし、細部が違っていたり、人によって受け止め方に違いがあったりします。
私の退職エントリを読んだイルカさん(電力社員)が、自社との比較記事を書いてくださいました。
電力への就職を考えている人は、ぜひ読んでみてください。
「電力が嫌だから」ではなく、前向きな理由で辞めたアビさんの退職エントリがこちら。
それなりに居心地がよく、恵まれた環境に満足
との記載もあり、相性の問題も大きいのが分かります。
この記事は退職エントリなので悪いことばかり書きましたが、メリットもあります。
こちらの記事も、ぜひ読んでみてください。